電子黒板の配備された学校は珍しくなくなりました。全国的に、学校へICT機器が導入され、プロジェクターはもはや当たり前のものです。しかし、これらのICT機器は、本当に使われているのでしょうか?
学校に1台の電子黒板が、うやうやしく飾られてあるものの、実際に使おうと思うと階下の教室に運ぶのは困難で、子どもたちが教室を移動するのも時間がとられてもったいない・・・。結局、使用を断念してしまった先生も多いのではないかと思います。
便利なはずのICT機器。どのように使いこなしたらよいのでしょうか。
準備するものを減らす
学校の中でも、全教室に電子黒板が配備されているという学校は、ほんの一握りです。一般の学校には、良くてもプロジェクターとスクリーンが全教室に設置されている程度。自由に使える環境だったとしても、10分程度の休み時間の間に一人で電子黒板を準備するのは、なかなか大変です。ですから、使う際には工夫が必要です。使用する機器を極力減らしましょう。
使うものは、たったの2つ。
プロジェクターとパソコンです。
キーワードは、黒地に白字!
ただし、スクリーンを使わないため、そのままでは見えにくいスライドにすぎません。そこで、スライドのデザインを、ひと工夫します。
佐賀県教育センター 使い方のヒント
このWEBサイトにあるように、背景を黒、文字色や線の色を白や黄色(少し濃いめ)に設定することで、黒板にはっきりと映すことができます。例えばpowerpointを利用する場合、「背景のスタイル」を黒一色にし、文字色を白や黄色にします。
文章を映し出すのもいいのですが、例えば白地図の色を反転させたものを投影すると、いつもの黒板が、地図黒板に早変わりします。その上から、黒板にチョークで書き込むことができます。
他にも、英語の罫線や五線譜、円を映すなど、いろいろなことに使えそうです。
文章を映し出すのもいいのですが、例えば白地図の色を反転させたものを投影すると、いつもの黒板が、地図黒板に早変わりします。その上から、黒板にチョークで書き込むことができます。
他にも、英語の罫線や五線譜、円を映すなど、いろいろなことに使えそうです。
それから実は、電子黒板を使う場合にも、この配色が役に立ちます。
背景が白色の電子黒板は、通常、ホワイトボードと同様に黒字や青字、赤字で色分けを行うことになるでしょう。隣の黒板は白・黄・ピンクの文字、電子黒板は黒・青・赤の文字では、ノートを取る子どもたちが混乱する原因となってしまう恐れがあります。
一方、電子黒板に写す画面を黒地に白・黄で作ってしまえば、「ちょっと黒板にメモをしたい」というときでも、余計なノイズを子どもたちに与えることなく、利用することができそうです。
著作権に注意!
PowerPointを使うと、お手軽に様々な媒体をスライドに取り込むことができ、また簡単に、作成したスライドを共有することができます。
気軽に作成・共有できる代わりに、ついつい見落とされてしまいがちなのは、著作権です。
福田孝義氏佐賀県教育庁 - キミのミライ発見こちらのページでも紹介されていますが、従来学校の先生が教材を使う場合、著作権法第35条の「例外規定」によって、保護されてきました。しかし、デジタル教材には、この著作権の「例外規定」が適用されない場合があるのだそうです。
なかでも、気を付けたいのは、教材の配布に関すること。
著作権法第35条の例外規定は、「教室内で先生と生徒が使うという場面を想定」しているので、
1.同時に教室にいない学生が、指導教員等のいない場所(例えば自宅等)で受講できるようにすること。といったことなどが禁止されます。(注)
2.後日、終了した講義を視聴できるようにすること(オンデマンド)。
3.教室で開講されていない講義を視聴できるようにすること(eラー二ング専用教材の制作)。
(注)日本著作権教育研究会WEBサイト「対面授業とeラーニング|eラーニングと著作権」より
まとめ
ICT機器は、ちょっとした工夫を加えることで身近なツールになります。「スライドは白いもの」という先入観を捨て、黒地に白字の配色で作成することによって、黒板に直接投影し、準備の手間を省くこともできます。
ただ、ICT機器の便利さの裏には、安易な使用によって他人を傷つけてしまう危険性が潜んでいます。不要な手間ひまを極力削る努力をしながらも、「教える」という行為の公正さのためには、しっかりと手間をかけられる人でありたいものですね。
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